2007年05月20日

ブログ引越しのお知らせ

「言の葉を拾い集めて」のじゃすみん茶です。ご訪問ありがとうございます!

このたびブログを引っ越すことにしました。移転先は下記のとおりです。

http://blog.goo.ne.jp/ksjasmine/

なお、こちらのブログは、過去ログという形で新居にリンクを張りました。

では、新しい「言の葉を拾い集めて」でみなさんにお会いできることを楽しみにしています!
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2007年05月17日

The Healing Gardens of New York

リンクテレビで放映していたドキュメンタリー番組"The Healing Gardens of New York"。車の往来の激しいニューヨークの一角で家庭菜園を営んでいる一家、タイムズ・スクエアの真中に美しい花壇を作った人々、ハーレムのそばの荒廃した公園を再生させ、ニューヨーカー達に癒しの場を提供した人々などが、紹介されていた。

そのなかで特に印象に残ったのが、服役者を対象にしたGreenhouse project。刑務所内での作業としてだけでなく、出所した後、ガーデニング方面で働きたいという希望のある服役者には、プロになるためのトレーニングも提供する。

プロジェクト主催者はこう語る。

服役者は、人生のなかで失敗を繰り返し、何をやってもうまくいかないという意識が根付いてしまっているので、最初種をまいたときも、「どうせ芽なんか出てきやしない」と言う人が多かったのです。それが、芽が出て葉が伸び、花が咲いて、野菜は実をつけ・・・自分がまいた種が成長していくのを見届けて、「自分にも出来ることがあるんだ」と気づくようになるのです。
服役者にとって植物を育てることは、癒しの過程そのものなのだ。「植物はわたしにとってセラピーのようなもの」という人、「剪定しているうちに怒りが鎮まっていく」という人、「ここはわたしにとって癒しの庭」という人。それぞれが、緑に癒されていく。

刑期を終えて出てきた2人が、ニューヨークの公園で庭師としてインターンを始めた。とても生き生きした表情で「この仕事は本当に楽しい!」と語る2人。1人が満面の笑顔で言ったこの言葉が忘れられない。

「この植物は、わたしのために育ってくれている。」

世の中に自分を必要としているものがある。そして、自分のやったことに感謝してくれる存在がある。今まで何度も人生に裏切られ、どうせわたしは何をやってもだめなんだと自暴自棄になっていた人々が、植物を育てる過程で大事なことを悟っていく。

緑豊かな街に住んでいると、そのありがたみを意識することなく、「人が作った公園でなく、手付かずの自然がいい」などとわがままを言いたくなるが、大都会の人々にとっては、人工的な公園が貴重な癒しの緑なのだなと気づいた。
posted by じゃすみん茶 at 05:33| Comment(4) | TrackBack(0) | 日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月16日

楽しいことを見つけるのが上手な子の話

特殊教育のサブとして働き始めて半年が経った。週1回ののんびりペース。それでも、必ず毎回何かしら新しいことを学べる。子どもの可能性ってすごいな、と思うことあり、困ったおとなもいるもんだな、と気づくこともあり(苦笑)。

この間は、「この子と出会ったことは一生の宝物!」と思うような、貴重な経験をした。

小学1年生の男の子A。自分で体を支えることができない障害を持っている(障害名は知らないし、先生にも聞かなかった)。だから、電動車椅子が彼の足代わり。手は使えるが、手首が内側に曲がっていて筋肉がとても弱く、鉛筆を持っても思うように動かせない。そのため、作文などは彼が口頭で言った文を特殊教育の先生が書き取る。頭もぐらぐらしてしまうので、頭を支える器具が車椅子に取り付けられている。

だけれど、この子には天から授かった宝物がある。それは、頭の回転の速さとユーモアのセンス!いたずら好きでふざけん坊、新しく来たサブ(わたしのこと)をからかって楽しんでいる(笑)。彼は身体障害は重いけれど知的障害はないので、普通学級で勉強している。この日国語の授業では5〜6人ずつのグループに分かれて「世界に一つしかない旅行カバンを作ろう」というプロジェクトをした。厚紙を二つに折って旅行カバン型に切り抜く。そして、表と裏に自分だけの特徴ある模様を描く。内側にはお気に入りの旅行先について作文を書く。

わたしには、Aがどの程度自分で作業が出来るかわからなかったので、「さあ、どうしようか」と尋ねてみた。するとAが答えた。

「ぼくが先生の作業を手伝ってあげるよ。」

うなっちゃったよ、この答には(笑)。賢い子だよねー、「手伝ってほしい」と直接言わず、でも1人じゃ出来ないってことをわたしにちゃんと理解させたんだから。感心したよ。

さて、Aが手伝ってくれたのは、そばで合いの手を入れること。ハサミで切る作業では、「おっとっと、そこは細いね。ちょんぎれないように上手に切れるかな」とプレッシャーかけてくれるので、わたしも調子にのってわざと手をすべらせたふりをして、「おっと危ない〜、間違って切り落とすところだったねー」とAをびっくりさせてあげた(笑)。

無事、カバンの型に切り抜いたら、表と裏に絵を描く。Aは太っちょマーカーを手に握り締め、ぐるぐるの線を描くのが得意。「じゃあ、わたしはその上に鳥を飛ばしてみようか」といって、描き始めたが、出来上がったのは小型飛行機(苦笑)。それを見たAが笑って、「飛行機にそっくりな鳥だね」と言うので、グループのみんなも覗き込んで大笑い。ボケのわたしに突っ込みのAのコンビが面白いらしく、グループのみんなは自分の作業そっちのけで、わたし達の作業を見守る。そうするとAはますます得意になって、おとぼけぶりを発揮。Aの笑ったときの顔が、これまたすごくかわいいんだ。

教室を移動するときも、電動車椅子を得意そうに操縦する。「Aは優良ドライバーだね」と誉めると、ますます嬉しそうに、「ほら、こんなふうにギアチェンジできるんだよ」と、デモンストレーションしてくれる(5段変速のハイテク車椅子!すごいねー)。それにAの人気の高さにもびっくり。廊下をすれ違う子ども達、同級生だけでなく上級生からも次々と"Hi, A!"と声がかかる。

わたしがAと一緒にいたのは午前中ほんの4時間のみ。もちろん、彼だってときには機嫌が悪かったりやる気がしない日だってあるだろう。でも、あれれ?という状況の中でも「楽しい!」と思えることを見つけるのが上手な子だな、という印象を強く受けた。とにかく明るいのだ。困ったときも、「嫌だなあ」と文句を言うのではなく、「ぼくはときどき邪悪なスパイダーマンになるんだ」と言って、わざと怖そうな顔をしてふざけてみせる。こういうユーモアのセンスって天性だよね。Aの家族って、笑い声の絶えない毎日なんだろうなあ。

Aにまた会えるといいなー。
posted by じゃすみん茶 at 05:05| Comment(10) | TrackBack(0) | 学校教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月14日

年に一度のショートケーキ

今年もまた娘のリクエストを受け、イチゴのショートケーキ作りに挑戦。去年はレシピを勝手にアレンジしたらスポンジが固くなっちゃったので、今回は面倒くさがらず、レシピに忠実に卵白と卵黄を分けてあわ立てた。

まず、黄身に砂糖を混ぜてあわ立てる。次に、別のボールで白身+砂糖をあわ立てる。目指せメレンゲ!
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白いフワフワを見た息子が「メレンゲがどうしても食べたい!」と騒ぎ出したので、一口だけなめさせる。

そして、黄身にメレンゲの半分を混ぜたところで、小麦粉をサクサクっと混ぜいれる。DSCN2859.jpg

これがうまくいって、ふんわり柔らかいスポンジが出来上がり!

・・・が、今年のは味は大満足でも見た目がちょっと、のショートケーキになっちゃった。

なぜなれば:DSCN2863.jpg
右の写真のように、円いケーキ型に長方形のワックスペーパーを無理やり敷いたものだから、どうにも形が決まらない。それで、焼き上がりがいびつになっちゃったのだ。あ〜あ。いつもどこか一つ、手抜きをしてしまうわたし。面倒くさがらず、ペーパーを円の形に合わせて切っておけばよかったなあ。

それでもスポンジはふわふわ、生クリームとろり。娘はもちろん、家族全員100%満足のケーキだったよ!(娘の自画像は平安時代のお姫様)
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posted by じゃすみん茶 at 06:48| Comment(10) | TrackBack(0) | 日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月12日

環境に優しいフライブリッド(frybrid)カー

わたしの前を走っていたちょっと古めの車、ナンバープレートの右上に"used fry oil"(使用済み食用油)と書かれたスティッカーが貼ってあった。運転中ずっとそれが気になって、帰ってすぐにネット検索。"used fry oil for car"とキーワードを打ったら、出てきた出てきたいろんなサイトが。

その中の一つがこちら→Enter the "frybrid" car。環境に優しいハイブリッドカーならぬ、フライブリッドカーだって!レストランなどから出る廃植物油を燃料として走る車だ。

さらにいろいろ調べていくと、使用・未使用にかかわらず、植物油や動物油脂などをエステル交換(transesterification)して作り出したものを「バイオディーゼル燃料」ということがわかった。

メカにはからきし弱いわたしなので、車のことはほとんどわからない。とはいえ、完全な車社会テキサスでは、車は必需品。少しは勉強しなくちゃ。それに、環境に良いのなら、値上がりっぱなしのガソリンからバイオディーゼル燃料に切り替えたほうがよさそうだし。

日本語のブログでも取り上げられていたので、ご存知の人もいらっしゃるかな。

バイオディーゼル燃料、米国で普及の兆し

こちらは日本のバイオディーゼル事情について:バイオマス白書2005

バイオディーゼル燃料はガソリンに比べて、一酸化炭素・二酸化炭素の排出量が少ないので環境に優しい。また、この燃料を使うとエンジンが長持ちするという。そして、空気の汚れがガソリンに比べて少ないので、喘息など呼吸器疾患を減らすこともできるだろう、といわれている。

なら、迷うことなくフライブリッドカーに乗りましょうよ!

と言いたいところだけれど、バイオディーゼル燃料にも欠点がある。低温では固まりやすくなるとか、ゴム管を劣化させてしまうなど、まだまだ改善点はある。それになんといっても、値段が高い。電気自動車もそうだけど、環境に優しい車ってどうしてみんな値段が高いんだろうね。そりゃ商業性には欠けるかもしれないけれど、いったん普及して、人々がこうした車の良さをしっかり認識すれば、元がとれると思うんだけどなー。この際儲けよりも環境保護のために一役買ってみませんか、企業家のみなさん。それに、政府が補助金を出したっていいよね。他国の罪もない人々の命を奪うのに莫大なお金を費やすくらいなら、地球温暖化に歯止めをかけるためにお金を使ったほうが、ず〜っとよいと思いません?
posted by じゃすみん茶 at 08:50| Comment(6) | TrackBack(1) | 日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月09日

アメリカの大学受験事情

少し前、大学受験準備説明会が高校で開かれた。そのときもらってきた資料をもとに、アメリカの大学受験についてざっとまとめてみた。

アメリカの大学入学審査に関係するのは:
高校(9〜11年生)での学年順位
GPA(各クラスの難易度と出身高校のレベルが考慮される)
内申書(課外活動、ボランティア経験、コンテスト出場歴など)
全国統一試験SAT
エッセイ
推薦状


学年順位:このあたりの高校では、中間・期末試験の成績が1位から最下位までリストになって張り出される。以前は名前が載ったそうだが、これにはさすがに苦情が出て、このごろは学生番号に変わったという。

GPA:主要各科目の評価A(最高)〜F(落第)を、Aは4、Bは3というふうに点数化して合計したもので、優れた大学を目指すなら、最低3.5はほしいといわれる。日本でいうなら、5段階評価の4.5以上。

が、気をつけなければいけないのは、この点数にクラスのレベル(通常、優等、AP=advanced placement)と出身高校のレベルが加味される点。レベルの高いクラスや高校ほど、GPAにプラスαの評価が加わる。例えば、A高校の子のGPAが3.5で、B高校の子のGPAが4.0だったとする。点数だけ単純に比べれば、B高校の子のほうが高い。だけれど、B高校のレベルはA高校より低いため、そこでハンデがついて、結果的にはA高校の子のGPAがランクが上になるのだ。つまり、アメリカの高校に関しては、「牛後となるも鶏口となるなかれ」ということになる。だから、レベルの高い高校に子どもを通わせるため、その学校区に引越す家族も出てくる(日本と違って、高校は受験ではなく住居によって決められた学校区に通う)。

内申書:これについてはいろんなうわさが飛び交っているので、わたしとしては正確なところはわからない。が、もしGPAもSATも同点の子が2人いたら、内申書が合否の鍵を握るということはいえそうだ。

SAT:これは、受験する大学に関わらず、高校生全員が受けなければいけない統一試験だ。科目は数学IとII、文学、世界史、アメリカ史、生物、化学、物理、それに外国語。そして、この成績は合否の判断材料になるだけでなく、奨学金の有無にも関係してくる。テキサスの州立大学でトップの大学と2番手の両方に合格した子の例。当然、トップの大学を選ぶと思いきや、その子は2番手の大学に行くことを決めた。なぜか。その子のSATの得点では2番手の大学からは奨学金(4年間全額支給!)がもらえるが、トップの大学は全額自分で学費を払わなければいけないので(年間100万円前後x4年)、家計への負担が大きい。そこで奨学金の出るほうに決めたというわけだ。

☆☆☆☆☆☆☆☆

ところで、SATは10年生か11年生が受けるのだが、ミドル7年の成績優秀者はPre-SATを受けることができる。それによって、自分の希望する大学との距離が測れるわけだ。そんなこともあって、6年生になってからSAT準備クラス(予備校のようなもの)に通い始めた子もいれば、買ってきたSAT問題集を家でやっている子もいる。

今までは、週末になると息子の友達が我が家に集まって、バスケットボールをしたりサイクリングをするというパターンだったのが、最近その数が減少気味。息子の人気が落ちたのか?(苦笑)と思いきや、その真相はこういうことだった。

この間の日曜日も、我が家の裏庭でバスケットボールをする約束をしていた子ども達。そのうち2人が遅れてやってきて、大声で「ごめん。お母さんに『SATの勉強が終わらない限り遊びに行ってはだめ』って言われて、今までやらされてたんだよ」と息子達に説明をしていた。うちの息子が「子どもから遊びを取ったらおしまいだよなー」と言うと、その子たちも「そうだよ、そうだよ!」と調子付いていたけど(笑)。

うちは夫もわたしも「学校の授業にしっかり集中していれば、良い成績がとれるはず。それ以上のことは必要ない」という考え方なので、息子には課題やプロジェクト以外の勉強はさせていない。でも、周囲の子達の様子を見ていると、正直迷いが出てくる。なにせアメリカの大学を受験したことがないので(大学院受験とは事情が違う)、うちの教育方針でいいんだ、と自信を持って言えないところが辛い。教育熱心なお母さん達はインド系や中国系の人がほとんど。みんな、コミュニティで情報を仕入れてくる。○○さん家の子はSATが何点でどこどこの大学に入ったとか、実に詳しい。

お茶に誘われ、勉強に関するいろんな有益情報を聞かせてもらえるのはありがたいけれど、彼女達の熱心さにはちょっとついていけなかったりする。この間もインド系の友人が「トップの大学を目指すなら、ハイスクールでは全科目APコースをとらなくちゃだめよ」ということを言うので、「勉強はもちろん大事だけれど、息抜きだって必要でしょ。全部APコースをとらなくても良い大学には入れるんじゃないかしら」と言ったら、「とんでもない!考えが甘すぎるわよ。そんなこと言っていると競争から脱落するわよ」と真顔で反論され、たじたじとなってしまったわ。

必要な情報だけもらって、はいさよなら、ってわけにはいかないところが、人付き合いの難しさ。いろいろ教えてくれる彼女達に感謝しつつ、ちょっぴりストレスを感じてしまうのよね〜。
posted by じゃすみん茶 at 00:39| Comment(12) | TrackBack(0) | 学校教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月07日

ダヴィンチ・プロジェクト

このタイトルから、ベストセラー『ダヴィンチ・コード』を想像した人、ごめんなさい〜。ダヴィンチというのは我が家のペット、ロシアリクガメの名前でした!

息子と2人で『ダヴィンチ・プロジェクト』と名づけた小屋が完成した。

こちら!

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約1.2メートル四方の木の小屋だ。室内に置くので、土などが漏れて下のカーペットを汚さないようにと、小屋の下半分を外からビニールで覆った。必要な材料:木材、金具、オーガニックの土などはDIYショップで揃えたが、これが結構高い。サブで稼いだ1日半分のお給料がぱ〜っととんでっちゃったよ。

壁の高さが不ぞろいなのはご愛嬌として(苦笑)、息子もわたしも満足の出来。もちろん、ダヴィンチも新しいお城がすっかり気に入ったようで、毎日山に登ったり隠れ家に潜んでみたり、冒険を楽しんでいる。

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追記:息子とわたしがひそかに計画中のダヴィンチ・プロジェクト第二弾は、「うさぎとかめの競走」。このあたりの住宅街には野うさぎがひょこひょこ遊びに来るので、ダヴィンチと競走させようというもの。が、これがなかなかうまくいかない。うさちゃんが遊びに来るのはたいてい朝か夕方。でもその時間帯はダヴィンチのお昼ねタイム。無理やり起こして競走させるわけにもいかないしなー。(下のは我が家の庭に来たうさちゃんと庭を散歩中のダヴィンチの合成写真。)

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おまけの画像:テキサス春の野花

今年の春は曇りや雨の日が多く、野原が潤ったのはいいけれど、花見日和には恵まれず。ブルーボネットは見逃してしまったよ〜。

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2007年05月05日

『落ちこぼれ防止法』の功罪

日本では「ゆとり教育」の見直しを求める声が高まっているようだが、ここアメリカでも、教育改革の難しさを実感している。ブッシュ大統領が提案し、2002年に成立した「落ちこぼれ防止法」(No Child Left Behind)は、学力差の縮小(地域間格差縮小)を目標として、特に主要教科の国語と数学に力を入れようというものである。学年末に統一試験を実施し、生徒達の学力を評価することが、どの学校にも義務付けられている。これによって学校全体の学力底上げを実現したというところもあるが、その反面特殊教育(special education)プログラムの子ども達にしわ寄せがきているという現実は、知らない人のほうが多いだろう。

ここに挙げる例は、実習先の私立の学校と、サブをした公立学区の小・中・高校でわたしが実際に見聞きしたことである。

(1)どんな障害のある子も学年末試験を受けなければいけない

実習先の私立学校の生徒は、全員がLDやADHDのある子達。実習最後の週は、幼稚園クラスの子達の試験監督をした。わずか5歳の、しかもLDという問題を抱えている子ども達にとって、何十ページというアチーブメント試験を受けることは、ものすごい苦行だ。文字の読めない子達ばかりなので、設問は先生が読む。でも、先生の設問さえ聞き取れない(聴力の問題ではなく、集中力が欠ける、聴解力が身についていない、などの理由)子が大半。だから、本来なら2時間半で終了する試験も、1日2時間ずつ進めて、4日もかかってしまった。その間、問題がわからなくてパニックする子、「疲れた、もうやりたくない」といって泣き出す子、「スナックタイムは何時?」と何度も聞いてくる子。こんな状態で本当の学力が測れるわけないよなーと思った。それでも「落ちこぼれ防止法」で決められたことなので、学校はそれに従わなければいけない。

さらにびっくりしたのは、サブをした公立の高校で聞いた話だが、重度の障害を持つノンバーバル(言葉を持たない子ども達)にも、統一試験を受けさせなければいけないのだという。イエス・ノーの意思表示さえままならないこの子達に試験だなんて、残酷物語だわと思った。実際、先生達も試験を終えたときは疲労困憊、倒れる寸前だったという。これも、1年間にその子がどれだけ伸びたかということを評価するのに必要なことだというが、上の例と同じように、この子達の場合は型にはまった「試験」では本当の能力は測れないのに、そういうことを役人はちっともわかっていないんだ・・・。

(2)成績の悪い子は特殊教育プログラムを勧められる?

これは"Bilingual Language"の講師Rさんが実際に経験したこと。彼女は公立の学校でバイリンガルSLPとして働いているが、そこの校長からこんなふうに圧力をかけられたという。「きみはAとBの言語査定をして、2人ともスピーチ・セラピー(特殊教育の一環)は不要と判断したそうだが、なんとかセラピーを受けられるようにしてもらえないか。」Rさんがその理由を尋ねると、校長はこう説明した。AとBは成績が悪い。この子達が普通クラスに在籍すれば、学年末の統一試験を受けなければいけないが、2人とも落第(70点未満)するのは目に見えている。でも、特殊教育プログラムに入れば、特殊教育用の試験を受ければいいわけだから、学校全体の成績に響かない。つまり、学校の評判のために、通常教育を受けられるはずのAとBを特殊教育プログラムに入れてしまおう、という考え方なのだ。もちろん、正義感の強いRさんは「それはできません。AもBも言語障害はなく、特殊教育プログラムを受ける理由はありませんから」ときっぱり主張したという。が、その結果、校長から疎まれる存在になってしまったらしい。

(3)インクルージョン・プログラムも良し悪し

これはサブをした公立の高校で聞いた話。「落ちこぼれ防止法」にうたわれた項目の一つに、障害のある子にも出来る限り通常クラスでの教育を受けさせる、というものがある。それにしたがって、この高校では障害(知的障害、自閉症)のある子も通常クラスに在籍させ、それを特殊教育の先生が個別にサポートするという形をとった。が、現実にはその子たちの存在が授業の妨げになってしまう。大学受験を控えた高校生達が授業に集中できないとしたら、大問題だ。そこでインクルージョン・プログラムを見直し、その子たちをリソース・ルームに集めて授業をすることにしたという。これも、法律の名の下に、子ども達が実験台にされた一例といえよう。

結局、こういう法律って学校の利害と関係して、子ども達のためにはなっていないんじゃないかなあ〜、と疑問に思ってしまったわ。
posted by じゃすみん茶 at 08:18| Comment(4) | TrackBack(0) | 学校教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月03日

"Secondhand World" a novel

韓国系アメリカ人作家が書いた本を読んだのは、これが初めてのような気がする。2006年に出版された"Secondhand World"。著者はKatherine Min。secondhandworld.jpg

主人公の高校生イサドラは韓国系アメリカ人2世。彼女の両親はアメリカ留学中に出会って結婚、父親はニューヨークの大学で教鞭をとる。移民としては比較的恵まれた環境で暮らしていたイサドラ一家に、突然悲劇が訪れる。

家族がばらばらになるような感覚。カルチュラル・アイデンティティのもろさ、存在感の危うさ。そうした不安定な思いが、思春期を迎えたイサドラの中に少しずつ影を落としていく。恋人や友人との決別。偶然知ってしまった母親の秘密。

そして、ある日悲劇が再びイサドラの家族を襲う・・・。

270ページあまりの小説だけれど、軽快で流れるような文章に惹き込まれていく。ミステリーではないのに、それに近いスリリングな快感もあれば、人間模様に深く入り込んだ心理小説のようでもあり、韓国とアメリカ2つの国の間で揺れ動く移民の苦悩を描いた社会小説的な部分もある。

世代の違いは、負っているものの違いでもある。父親にとって韓国は彼のルーツ。「恨五百年」の歴史、朝鮮戦争、北朝鮮による拉致事件などが、父親の人格形成に深く関わっている。一方、イサドラはアメリカ生まれのアメリカ育ち、韓国語は話せなければ、韓国の歴史や文化にも興味がない。そんな彼女を、父親は「アメリカ人」と呼ぶ。

わたし達は親の世代から受け継いだ中古の世界に生まれてきた・・・。イサドラはつぶやく。

もしイサドラの家族が韓国で暮らしていたら、起こらずにすんだ悲劇だったかもしれない。でも、韓国で暮らしていても、悲劇は違う形で訪れていたかもしれない。それは誰にもわからない。

でも、悲劇はイサドラの歩みを止めるほどの力は持たない。物語のラストはとても優しく、ほっとする。
posted by じゃすみん茶 at 05:55| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月02日

エンタープライズ・シティへようこそ!

春学期終了後、1日だけの実習に参加した。パーキンソン氏病患者さん達にヴォイス・セラピーLSVT(詳しくはこちら)を提供しているグループが主催した、とっても楽しい行事「エンタープライズ・シティ」だ。

神経疾患のパーキンソン氏病は、ふるえや筋肉の硬直などが主な症状で、言語・音声障害も伴う。「エンタープライズ・シティ」は、LSVTの成果を披露すべく、SLPと患者さん達が架空の企業都市を訪れ、そこでいろんな職業を体験するというもの。

公立小学校の一角を借りたスペースに、いろんな会社やお店が建ち並ぶ。銀行、薬局、スポーツ用品店、お菓子屋、写真屋、宝石店などなど。もちろん、LSVTクリニックもある。患者さんは交代で店番をする。番が終わると今度はおもちゃのお金を持ってお客さんとして買い物を楽しむ。女性に大人気は、いわずとしれた宝石店でしたよー(下の写真)。

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この都市には「大きな声ではっきり話しましょう!」という法律があって、それを守れない人は簡易裁判所で裁かれる。そこで有罪判決が下った人は、牢屋へ直行!(下の写真、右の鉄格子が牢屋)。

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ぎょっとするシナリオだけれど、そこは慣れたもの、みなさん余裕で牢屋入りを楽しんでいた(笑)。もちろん、裁判所へ出向かなかった人は、下の写真のようにお尋ね者になる。

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締めくくりは、歌の上手な患者さんによる"Love Me Tender"。いやー、本当に上手だー!と思ったら、CDを出したんだって。そりゃすごいわけだ。

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とにかくね、すごく楽しいの。熟年+α(笑)の患者さん達に付き添いのご家族、みなさんノリがよくって、「こんな子ども騙しなこと、やってられっか」なんて白ける人は一人もいなくてね。わたしも薬剤師やったんだけど、「この薬2ドルもするの?高いなー」「2ドル分の効き目は保証します!」「これが薬?なんだかキャンディみたいね」「『良薬口に甘し』ですから、ね」なんて調子で、冗談飛ばしあいながら盛り上がった。一緒に薬局の店番をやった電動車椅子にのった熟年男性は、運動性構音障害もあって話がちょっと聞き取りにくい。でも、マイクの不要な大声で快調に冗談を飛ばす、すっごく楽しい人。この人は障害の重さを持ち前の明るさと元気さで吹き飛ばしちゃってる。なかなか出来ないことなだけに、彼の前向きな態度に感動!

患者さん達が帰った後、SLPと実習生は会場の片付け。そして、配られたお弁当(無料!)をいただきながらおしゃべり。楽しい楽しい3時間だった!
posted by じゃすみん茶 at 11:01| Comment(6) | TrackBack(0) | 言語病理学(大学院)  | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする